『三体』感想 近年稀に見るSF小説の大傑作!※ネタバレあり

こんにちは、ちんぱんパパです!

実は僕は割とSF好きだったりします。小説も映画も結構読みますね。 そこまでマニアかというとそうでもないですが…。

今回、数年前に話題になった中国のSF小説『三体(劉慈欣著)』三部作を読破しましたので、感想を書いていきたいと思います!

ネタバレも一部含みますので、未読の方は注意してください。

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『三体』とは

『三体』は、2008年ごろに中国のSF雑誌『科幻世界』で劉慈欣が連載し始めた作品です。日本語版は2019年に出版され、大きな話題を集めました。

2014年にアメリカではケン・リュウによる英訳版が発表されており、すでに数々のSF賞にノミネートされている、かなり注目の作品です。

『三体』はI、II、IIIと三巻に分かれており、さらにII巻とIII巻は上下巻構成になっているため、全部読み切るには全5冊を読む必要があるというかなり大ボリューム。内容はかなりミステリの効いたハードSFで、ものすごい読み応えがあります。

しかし、あまりの面白さに一気に読んでいけちゃうと思います(自分はそうでした笑)。

『三体』のあらすじ

三体I

物語は、1960年代中国、物理学者の葉文潔(イエ・ウェンジエ)の父親が文化大革命で惨殺されるシーンからスタートします。

その後、葉文潔は異星人を探索するために作られた政府基地で強制的に働かされ、三体星人とのコンタクトに成功します。

世界に絶望していた葉文潔は、三体星人に人類の世界を変えてもらうようにメッセージを伝え、三体星人は地球まで400年かけて移動を始めます。

果たして三体星人は人類を救ってくれるのか、三体星人の真の目的とは…

三体II

三体星人の目的は人類を皆殺しにすることでした。ただ、三体星人は嘘という概念がない社会生活を送る生物だということがわかり、彼らを欺くための計画を立て人類滅亡の危機を回避しようとします。

面壁者と名付けた三体星人を打破する計画を立てるものを複数人選出し、そのうちの1人、羅輯(ルオ・ジー)は、ある星の座標情報を全宇宙に送信する戦略を提案。

宇宙人たちは生物の痕跡を確認したら破壊をする、という黒暗森林理論による戦略でした。

この理論により三体世界の座標を人質に、三体星人を追い払うことに成功します。

三体III

三体星人を追い払うことに成功した人類ですが、太陽系の座標情報が全宇宙に漏れてしまったことで、地球破壊の危機が訪れてしまいます。

最終的に、三体星人とは別の宇宙文明から攻撃を受けて、太陽系は消滅します。

ただ2人生き残った程心(チェン・シン)と関一帆(グァン・イーファン)は三体世界に渡った雲天明(ユン・ティエンミン)から、居住用の小宇宙をプレゼントされ、その世界で暮らし始めます。

その後、また別の宇宙人から、宇宙にビッグクランチを起こすために小宇宙の質量を元の宇宙に返すように要求され、程心と関一帆はそのとおりにします。

程心と関一帆がいなくなった小宇宙には、小さな海の中を魚が泳いでいました。

『三体』感想

ミステリ的な話運びが秀逸

『三体』の良さは、なんといってもミステリとしての完成度の高さです。

物語には常に謎が横たわっており、その謎を解くために主人公たちは行動していきます。

三体星人の目的とは、基礎科学が憎まれているのはなぜか、目に浮かぶカウントダウンはなぜ起こるのか…。

こういった謎が、最後の最後に明かされていくストーリーテリングのうまさは一級品です。カタルシスもものすごく感じますね。

科学的裏付けがすごい

本作はハードSFと位置づけられるものと思いますが、とにかく宇宙物理学理論の裏付けとなる知識がものすごく多いです。

宇宙マイクロ波背景放射やひも理論といったベーシックなものから、人間原理、プランク時間、空間の曲率といったワードが飛び交い、SFファンの心をこれでもかとくすぐってきます。

ただ、あまりにも難しすぎてよくわからない部分も相当にありますが……それでも、そこまで深く理解しなくても、話としては読み進めることはできますので、そういう意味ではSF的な雰囲気作りがすごくうまいというところでもあります。

スケールがでかい

『三体I』と『三体II』まではそうでもありませんが、SFファンを唸らせるために書いたという『三体III』のスケールの大きさは相当なものがあり、大好きな作品となりました。

個人的には、『幼年期の終わり』や『2001年宇宙の旅』、映画『インターステラー』を超えるほどの世界観です。

特に、太陽系が二次元の空間に吸い込まれ崩壊していくさまは非常に圧巻でした。

その後も、光速移動によってたった12日間で周りが1800万年も過ぎていってしまったシーンや、ビッグクランチを目撃すべくたった2人で小宇宙で過ごす展開など、ラストにかけてとにかく怒涛のシーンの連続で、夢中で読み切ってしまいました。

間違いなく近年最高のSF小説だと思います。

気になったこと

とはいえ、多少気になるところもありました。

この小説に出てくる女性が、ほぼ全員、美人とかスレンダーとか形容されるんですよね。

執筆当時は2006年あたりということで仕方ないのかな、と思いますが、どうもこのポリコレ時代には少し気になる表現ではありました。作者の好みなのかなあと思ったり。

あと、人食いとか、脳を取り出すとか、人混みの中で宇宙船が出発して何万人も黒焦げになるとか、割とグロいシーンも多いので、そのあたりが苦手な人は注意した方が良いと思います(ここまでネタバレしている感想を未読の人が読むとは思いませんが笑)。

とはいえ、超がつくほどの大傑作だと思います!

SFファンだけでなく、普通の小説読みの人も絶対読んでほしいと思います。おすすめ!

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